
長崎県佐世保市の離島 黒島へ渡る際に利用する相浦(あいのうら)港。
「フェリーに乗り遅れたら大変だから」「交通トラブルで間に合わないといけないから」
そんな理由で早めに港に向かうひとは多いのではないでしょうか。
また、佐世保までの交通アクセスの関係でどこかに立ち寄るほどの時間がなく、相浦に直行する人もいますよね。
今回は、そんな相浦での時間を満喫する地元情報を相浦青年会協力のもと、お届けします!
相浦で飯盛神社にお参りする

松浦鉄道 相浦駅から徒歩約5分、相浦桟橋(港)からも徒歩約10分くらいの距離の相浦商店街。
相浦を散策するなら、この商店街近辺がオススメです。
商店街の中ほどから脇道に入ると、飯盛神社がありました。
飯盛神社は、節分祭になると毎年約800人近い参拝客が福を求めて詰め掛けるという地元に愛される神社です。
袋詰めした1万袋以上の福豆が用意され、そのうち約千袋には、景品がもらえる当たりくじが入っているのだとか。
その福豆を大人も子どもも楽しみにし、大変な盛り上がりを見せるそうです。
飯盛神社の本殿の扁額(へんがく)には、「飯盛 松尾/愛宕/祇園 神社」と飯盛を頭にして3社の名が併記されていました。(写真の中の扁額で真ん中の文字が小さく3列になっているのが判るでしょうか……)
つまり飯盛神社は「飯盛松尾神社」であり「飯盛愛宕神社」であり「飯盛祇園神社」であるということ?
何とも珍しい記し方を拝むことが出来ました。
相浦の愛宕山 山頂から黒島を眺めてみる

飯盛神社は、相浦富士とも呼ばれる標高259メートルの愛宕山(あたごさん)のふもとにあります。
愛宕山は、戦国時代に宗家松浦丹後守親(幸松丸)によって築城された飯盛城の城跡。
そのため、飯盛山とも呼ばれていたそうです。
山頂からは黒島が望めるということでしたので、今回はその登山にも挑戦してみました。
登山道は整備されており、片道約30分です。
2月の愛宕祭りの際は、多くの人が参拝登山をするのだそう。

時間を計ってみたら、山頂までは女性の足でちょうど30分。
山頂からは黒島を眺めることが出来ました。
手前にあるのが高島、その奥が黒島です。
また、白い塔のようなものは、相浦のシンボルとも言える九州電力 相浦発電所の煙突だとか。
「相浦の風景」の一部として、地元の人たちには馴染み深いもののようです。
九十九島を望む展望台はいくつかありますが、ここ愛宕山山頂も知る人ぞ知る展望スポットではないでしょうか。
「他とは違う九十九島が観たい」「これから訪れる(訪れてきた)黒島を眺めたい」という想いを満たしてくれる場所。
自力で登った場所からの展望は、格別な思い出になります。
編集部記:2018年夏に世界遺産(世界文化遺産)登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」構成資産の1つ「黒島の集落」は、黒島(長崎県佐世保市)にあります。
相浦の歴史あるお店でショッピングを楽しむ

相浦の商店街は、どこか懐かしさを感じる雰囲気。
昔はどこの町にもこのような風景が広がっていたなと思い出させてくれます。
今回は、その中から伝統の中に現代の感覚をアレンジさせた商品を扱うお店を訪れてみました。
まずは、100余年の歴史を重ねる染物屋 川口家染工場。
大漁旗や応援旗など引き染めの技術を伝承、旗、幕、のぼりなどの染色製造と販売を行っているお店です。
「いや、旗ってふらっと行って買うものじゃないでしょ。」と思った、そこのアナタちょっと待ってください!
川口家染工場では、旗などのオーダーメイド製造の傍ら、その端切れなどを使った小物を店頭で販売しているのです。

一般的に私たちが目にする「和雑貨」とは、また違った雰囲気で、新鮮な色使いではありませんか?
こんな色合いと染の生地を使った雑貨ってなかなかないはず。
ティッシュケース、ヘアゴム、ランチョンマット、コースター、ブックカバー、日傘などバラエティに富んだラインナップで、自分のライフスタイルの中で使えるアイテムが見つかりそうだと思いました。
お値段もお手ごろで、伝統の技術を感じるのにピッタリです。

続いては、創業安永4年 240余年の歴史を持つ丸屋呉服店。
店頭の看板や佇まいだけでも見る価値があるのでは?と思う、歴史を感じさせてくれます。
「着物も旅先で買うものではないのでは?」と思ったそこのアナタ、ちょっと待ってください!
丸屋呉服店では、ハンカチや風呂敷、バッグやポーチなどの和雑貨はもちろん、着物の反物から作るオリジナルのアロハシャツ、ワンピースなども作っているのです。

「着物をもっと身近に感じて欲しい」「着物の良さを多くの方に伝えたい」、そんな思いから作られたという丸屋アロハ。
浴衣の生地で作られるアロハシャツは、男性でも着れる柄選びや仕立てになっています。
また、総絞りの生地で作られたワンピースは、着物の良さを手軽に洋服で感じられるものでした。

丸屋呉服店の片隅には、こんな缶バッジも並びます。
これは、相浦青年会が町おこしのきっかけになればと企画、製作されたものです。
全6種のデザインは相浦や黒島がモチーフ。地元のデザイナー南新太郎さんによるデザインだそうです。

これは、相浦港を利用し黒島へ向かう旅の記念にピッタリ。
取材スタッフも購入し、早速、リュックサックに付けてみました。
この缶バッジは、丸屋呉服店のほか、飯盛神社、黒島ウェルカムハウスで販売されています。
相浦で食事をする

黒島へ渡る前に腹ごしらえをしたい、黒島から戻ってきて食事がしたい、そんな人が気になるのは飲食店の情報のはず。
今回は、商店街の一番端、相浦港に近いところにある、居酒屋 ばらえ亭 純でランチをいただいてみました。
ばらえ亭 純は居酒屋ですが、11:00~14:00(ラストオーダー13:30)でランチ営業もしています。
昼食をとってから13:00相浦桟橋発のフェリーで黒島に向かう、
11:10黒島発(相浦桟橋12:00着)のフェリーで戻ってきてから昼食をとるのにオススメ。
また、タイムスケジュール上、店内での飲食時間がない場合、事前に相談しておけば、お弁当などの対応もしてくれるそうです。
メニューは、日替わりで提供される「ばらえ亭定食」780円をはじめとし、エビフライ定食、刺身定食、サンマ定食、お子様ランチ、親子丼、チキンカツ丼、雑炊など様々。
その日の体調や食欲、気分に合わせて選べます。

ボリュームたっぷりの新鮮なお刺身5種盛りを中心に、煮物、小鉢、ご飯、お漬物、さつま芋の甘露煮。
このお刺身の量は、都心の定食に比べるとずいぶんと贅沢ですよね?これで、お値段1,200円はお値打ちです。
相浦は佐世保魚市場が近いので、もちろん、その鮮度はお墨付き。
この日のお刺身は、ハマチ、甘エビ、鯛、ハガツオ、アジでした。

そして、ばらえ亭 純 一押しメニューのエビフライが4尾ものったエビフライ定食。
外はサクサク、中はふわふわのエビフライと自家製だというタルタルソースのバランスがたまりません。
こちらもエビフライ(サラダ添え)に、煮物、小鉢、ご飯、お漬物、さつま芋の甘露煮で1,200円。
お刺身定食と共通ですが、スイーツの代わりにさつま芋の甘露煮が添えてあるところに長崎が感じられます。
エビフライオンリーのフライ定食の贅沢な喜び、ぜひ味わってみてください。(私はエビフライ定食をいただきました!)
この相浦には、他にも、まつお寿司、海鮮味処漁(開店前から並んでいます)、お食事処・居酒屋 かわじりなどの飲食店があります。
いずれも相浦青年会のみなさんが日常的に利用するお馴染みの店のよう。
黒島に行く前、戻ってきた後、どちらの食事にも困らない印象でした。
町おこしに奮闘する相浦青年会にご協力いただきました

今回、町を案内してくださったのは、相浦青年会のみなさん。
20代~40代の地元の有志たちがメンバーで缶バッジのデザイナーさん、川口家染工場、丸屋呉服店、ばらえ亭 純の方々も参画されています。
この地で生まれ育ち家業を継いだ方、Uターンで地元に戻った方など、「生まれ育った相浦を活性化したい」という地元愛に溢れる方々ばかり。
子どものころからのお付き合いが育んだ絆で結ばれていて、熱いパワーと心温まる雰囲気をお持ちでした。
どこに行っても「顔見知り」で、相浦の案内人として素晴らしい方々にご協力いただけたなと思います。
そんな方々が教えてくださる情報なら、間違いなし!
最後に相浦商工振興会が作成した相浦地区の楽しいプロモーション映像をご紹介します。
私たちが取材でお世話になった方々も登場し、つい先日のことなのに懐かしい気持ちになりました。
せっかく相浦を訪れるなら、港の利用だけではモッタイナイ!
ぜひ、黒島への往復には相浦も散策してみてくださいね。
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