沖縄最西端・久米島〜沖永良部島沖で新たな海底熱水鉱床の存在を確認

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JOGMEC(本部:東京都港区、理事長:黒木啓介)は、平成28年11月から平成29年2月にかけて実施した海洋資源調査によって、沖縄県久米島沖と鹿児島県沖永良部島沖の2つの海域において銅、鉛、亜鉛、金、銀を含む海底熱水鉱床を発見しました。

久米島沖の鉱床(「球美(くみ)サイト」と仮称)では、熱水活動が550m×300mの範囲に分布しており、銅・鉛・亜鉛に富む鉱石が採取されました。沖永良部島沖の鉱床(「銀水(ぎんすい)サイト」と仮称)では、熱水活動が300m×100mの範囲に分布しており、鉛・亜鉛・金・銀に富む鉱石が採取されました。

今後、JOGMECは海底観察、物理探査、ボーリング調査等を行い、この鉱床の広がりや金属含有率(鉱石の品位)を詳細に把握し、資源量を評価する予定です。

海底熱水鉱床を発見した経緯

JOGMECは経済産業省の委託を受け、沖縄海域でのボーリング調査を主体とする海底熱水鉱床の資源量の把握を実施するとともに、同海域で新たな海底熱水鉱床の発見を目的とした地形調査、海底観察、試料採取等による広域調査を実施しています。

久米島沖の球美サイトを含む火山性の高まりでは、海上保安庁が平成28年5月から6月にかけて自律型潜水調査機器(AUV)を用いた調査を実施し、高温の熱水活動を確認していました。JOGMECは海上保安庁からの調査データの提供を受け、平成28年11月から平成29年2月にかけて民間調査船を活用し、遠隔操作無人探査機(ROV)による海底観察と試料採取を行った結果、海底熱水鉱床の存在を確認しました。

沖永良部島沖の銀水サイトでは、JOGMECが平成27年度に民間調査船を用いた調査によって水中音響異常域*1を検出しました。平成28年11月から平成29年2月にかけて民間調査船を活用し、AUVによる調査を実施した結果、チムニーと考えられる尖塔状の地形や熱水活動の兆候を捉えました。そしてROVによる海底観察と試料採取を行った結果、海底熱水鉱床の存在を確認しました。

調査結果の概要

球美サイト

球美サイトでは水深1800mの海底に熱水活動が550×300mの範囲に分布しており、最高350度の熱水を噴出するチムニー(写真1)をはじめ、300度を超える熱水活動を伴うチムニーやマウンド*2(写真2)が複数確認されました。これらのチムニーやマウンドおよび周辺部から鉱石を採取し(写真3)、4試料の品位(金属の含有量)分析を行ったところ、平均値で銅 4.7%、鉛7.6%、亜鉛6.0%、金2.9g/t、銀842 g/tと銅・鉛・亜鉛に富むことが明らかになりました(表1)。久米島の古称と考えられている球美にちなんで球美サイトと呼んでいます。

銀水サイト

銀水サイトでは水深1100mの海底に熱水活動が300m×100mの範囲に分布しており、最高220度の熱水を噴出する高さ約30mの巨大チムニー(写真4)をはじめ、多数のチムニーを発見しました(写真5)。これらのチムニーやマウンドおよび周辺部から鉱石を採取し(写真6)、8試料の品位(金属の含有量)分析を行ったところ、平均値で銅0.8%、鉛13.9%、亜鉛17.5%、金13.6g/t、銀1061g/tと、鉛・亜鉛・金・銀に富むことが明らかになりました(表2)。沖永良部島の神秘的な洞窟である銀水洞にちなんで銀水サイトと呼んでいます。

新たな鉱床の発見に向けて

銀水サイトは、洋上の調査船のマルチビーム音響測深機で検出したプルーム状の水中音響異常をもとに発見しました。これは、野甫サイト*3、田名サイトおよび比嘉サイト*4の探査時と同様の探査手法により発見されたものです。

球美サイトのマウンドで採取した鉱石(表1の試料(1))。銅・鉛・亜鉛に富む 球美サイトで採取した鉱石の品位分析結果銀水サイトで確認された高温(約220度)の熱水を噴出する高さ約30mの巨大チムニー。チムニーの上部にひさし状の構造(フランジ)を持つ。銀水サイトで確認された多数のチムニー銀水サイトで採取した鉱石(表2の試料(6))。鉛、亜鉛、金、銀に富む銀水サイトで採取した鉱石の品位分析結果

一方、球美サイトやごんどうサイト*5は、洋上からの調査ではプルーム状の水中音響異常が検出されないにもかかわらず、熱水活動および熱水鉱床が発見されたものです。この結果は、沖縄海域には従来の探査手法では発見が困難な海底熱水鉱床がまだまだ存在する可能性を示唆しています。

今後、JOGMECでは関係機関との連携を図るとともに、これまでの探査手法に新たな知見を加え、海底熱水鉱床の資源量確保に向けて効率的に新たな鉱床の発見に取り組みます。

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*1:水中音響異常
調査船の船底にあるマルチビーム音響測探機から海底に向けて発射された音波の反射データを解析処理し、海水中の反射の異常を検出します。プルームと呼ばれる反射異常の“ゆらぎ”は、海底の熱水活動に伴うガスなどを反映していると考えられています。

*2:チムニー、マウンド
海底熱水活動によって海底に生成される煙突状の構造物を「チムニー」と呼びます。熱水が海底面から噴出し、その周辺に金属成分等が沈殿することにより煙突状の構造物がつくられたものとされています。チムニーは、成長、活動停止、倒壊を繰り返すことで、周辺に礫状の鉱石塊や沈殿物を堆積させ、長年の間に硫化物からなる丘状の地形「マウンド」を形成します。

*3:伊平屋小海嶺周辺 「野甫(のほ)サイト」
沖縄本島北西沖の伊平屋小海嶺周辺に位置し、南北1km×東西600mの範囲に、大小20個以上のマウンドと呼ばれる円錐状の高まりが確認されています。「野甫サイト」中央には最大規模の高さ約30m、直径約100mのマウンドがあり、平均品位銅0.75%、鉛6.88%、亜鉛18.55%、金2.7g/t、銀285g/tを含む海底熱水鉱床を形成しています。マウンド分布域の広がりは、伊是名海穴「Hakureiサイト」*6の海底熱水鉱床に匹敵します。
(注)平均品位はこれまでのニュースリリース後に調査したものを含む最新の値です。他のサイトの平均品位も同様です。

*4:伊平屋島沖「田名(だな)サイト」、久米島沖「比嘉(ひが)サイト」
「田名サイト」は沖縄県伊平屋島北西沖に位置し、南北800m、東西600mの範囲に大小多数のチムニーやマウンドが確認されています。田名サイトの平均品位(金属の含有量)は、銅1.62%、鉛6.15%、亜鉛15.66%、金9.64g/t、銀704g/tです。「比嘉サイト」は久米島北西沖に位置し、直径100m強の窪地の内壁に鉛・鉛鉱物からなる緻密質な塊状鉱石が分布しています。比嘉サイトの平均品位(金属の含有量)は、銅0.23%、鉛4.13%、亜鉛6.31%、金0.57g/t、銀263g/tです。

*5:久米島沖「ごんどうサイト」
沖縄県久米島沖に位置し、南北1,500m、東西300mの範囲に多数のチムニーやマウンドが確認されています。水平的な広がりや鉱石品位は、伊是名海穴「Hakureiサイト」や伊平屋小海嶺周辺「野甫サイト」の海底熱水鉱床に匹敵するものと期待されます。JOGMECが平成27年度までにごんどうサイトで実施した資源量調査の結果、深部方向に最大42mの銅に富む鉱床の連続性を確認しました。ごんどうサイトの平均品位(金属の含有量)は、銅3.38%、鉛2.39%、亜鉛6.39%、金0.97g/t、銀62.6g/tです。ごんどうサイトでは今後も引き続き調査を行い、資源量評価を行います。

*6:伊是名海穴「Hakureiサイト」
沖縄本島北西沖に位置し、伊是名海穴と呼ばれる長軸6km、短軸3kmの楕円形の窪地の中にHakureiサイトとJADEサイトと呼ばれる二つの海底熱水鉱床が確認されています。JOGMECが平成27年度までにHakureiサイトで実施した資源量調査の結果、740万トンの資源量が確認されています。Hakureiサイトの平均品位(金属の含有量)は、銅0.41%、鉛1.44%、亜鉛5.75%、金1.45g/t、銀95.6g/tです。

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