世界遺産登録の佐世保市黒島の集落、島と教会の歴史から見る信仰の形

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長崎県佐世保市の離島「黒島(くろしま)」。
黒島の集落は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」構成資産の1つとして、今年の夏に世界遺産(世界文化遺産)に登録されました。

黒島は、208の島々からなる「九十九島(くじゅうくしま)に属し、
人口は400人ほどで、その8割がカトリック教徒です。

気温も上がり、すっかり夏の日差しが照りはじめた5月中旬。黒島を取材してきました。

ガイドいただいた、黒島観光協会の山内さま。

今回は、黒島と、島のシンボル黒島天主堂の歴史についてご紹介します。

なお、黒島天主堂は2018年11月~2020年10月末までの予定で、耐震工事が実施されます。
今年の夏を逃すと、教会の全体を見れるのは2年後となりますので、ぜひ今年の夏に訪れておきたいですね。

なぜ潜伏キリシタンたちは、ここ黒島に集まったのか

日本では、江戸時代から、明治初期まで、キリスト教信仰を禁じる
禁教令が発令されていました。

そのため、キリスト教信者であることを公にはできず、
表では仏教徒を装いながら、ひそかにキリスト教を信仰していた
「潜伏(せんぷく)キリシタン」が長崎には多くいました。

江戸時代初期の黒島は平戸藩の放牧地として、軍馬や牛の飼育がされていましたが
1803年放牧地を撤廃し、
黒島開墾のために、他藩からも黒島への入植を許可しました。
その際に、「外海(そとめ)」と言われる地域などから潜伏キリシタンたちが
多くやってきました。

信者の増加に伴い、多くの人が入れる教会の建設が急務となる

初めて、黒島にできた教会は禁教令撤廃から7年後の1880年、ペルー神父により建設されました。
しかし、教会のサイズは小さく、信者の増加により、ミサに全員がおさまらないほどだったそうです。

次に黒島天主堂の主任神父としてやってきたのが、フランス人のマルマン神父でした。
マルマン神父にとって、信徒のみんなが入れる今より大きい教会を建てることは命題の一つでした。

初期の予算は7000円(現代でいうと1億円くらい)、最終的にはその倍以上の現代で換算する(3億円相当)の建築費がかかったそうです。

その費用は、島民の負担や、マルマン神父がフランスで調達した資金で賄われていますが、
支払うことができない島民は、勤労奉仕という形で教会建設に尽力しました。

カトリックとして復活、その喜びが教会の完成を後押しした

なぜ島の人たちが、長い年月資金負担や勤労奉仕をしてまで、教会を作ることに精をだせたのかのか不思議ですよね。

島には、洗礼を授ける役を担っていた「出口大吉(でぐちだいきち)」という人がいました。

出口大吉が意を決して、長崎市内にある大浦天主堂を訪れ
プチジャン神父に、黒島に600人近くの潜伏キリシタンがいることを告白した際、これまで行っていた祈りの文言が完全なものではなかったことがわかり、洗礼が無効になるという事実に愕然とします。しかし出口は、何度となく長崎へ出向き、プチジャン神父に指導を受け、また、黒島の人々も熱心に勉強し600人の潜伏キリシタンは、すべてカトリックとして復活を遂げたのです。
黒島天主堂はその人々の歓喜の結晶であるともいえます。

どんなに苦しくても、自分たちの教会を自分たちで作ろうと
教会の完成まで意志を貫いたのです。

ガイド付き島歩きがおすすめ!黒島天主堂の歴史を感じよう

今回は、黒島天主堂の完成までの歴史について、ご紹介しました。

黒島天主堂は、250年もの禁教を耐えしのぎ、信仰を続けた信徒たちの強い思いと、1つ1つ積み上げられた赤レンガにより形作られ、島のシンボルとして今もなお大切にされています。

天主堂を含め、黒島の観光にはガイド付き島歩きがおすすめです。

ガイド付き島歩きおよび、教会見学するには事前予約が必要です。
また祈りの場であるため、静粛に良識のある行動をこころがけましょう。
原則教会内は写真撮影禁止です。
(今回は取材のため、許可をいただいて撮影しています。)

ぜひ、耐震工事が始まる前に
黒島天主堂を見学し、潜伏キリシタンの歴史に触れてみてはいかがでしょうか。

・黒島へのアクセスはこちら
※フェリーに乗船する、相浦桟橋の駐車スペースには限りがあります。ご注意ください。

・教会見学予約はこちら

※島で昼食をいただくには、予約が必要です。
その他、詳しくは佐世保市黒島観光協会ホームページをご参照ください。

2018/07/02 編集部追記:
2018年6月30日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第42回世界遺産委員会が、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本両県)の世界文化遺産への登録を決定したため、記事内の表記「世界遺産候補地」より”候補地”を外させていただきました。関連する表記も一部加筆修正等させていただいております。

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