
2018年夏、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のひとつ「黒島の集落」(長崎県佐世保市)として世界遺産に登録され観光客が増えている長崎県佐世保市の黒島。
黒島天主堂をはじめ、黒島の魅力を伝えるガイドの需要がさらに高まってきています。
そんな黒島での最近の取り組みやイベントをレポートいたします。
佐世保市黒島ガイド養成研修
佐世保市黒島ガイド養成研修が、黒島天主堂にて7月に行われました。
この研修は、佐世保市黒島の観光ガイドとその関係者を対象に、専門的な技術や知識の向上を図るとともに、その技術等を実際の観光案内事業等で観光客に分かりやすく伝えるための手法を学ぶことを目的に実施。
観光ガイド研修を受け専門知識を持ったガイドが、その知識を観光客に対し「分かりやすく」「効果的に伝える」ための手法(「インタープリテーション」と呼ばれる)を理解し、活動で役に立つ知識や技術を得ることをねらいとして講義と実技・実習が行われました。
いったいどのような研修だったのでしょうか?
直訳すると、「通訳」という意味の「インタープリテーション」ですが、
この手法を学ぶことで、
(1)楽しみながら学ぶ、(2)体験から学ぶ、(3)互いから学ぶ
ことを大切にし、ただ解説するだけではない「分かりやすく」「効果的に伝える」ガイドツアーの時間を提供することができるようになるとのことです。
研修は1日かけておこなわれ、3つのカリキュラムに沿って進行しました。
1 伝え方の講義(講義)
伝わる伝え方について、その技術を体系的に整理し理解をする。2 インタープリテーションの体験(実技)
実際のプログラムを体験し、インタープリテーションの具体的なイメージを得る。3 プログラム企画立案(実習)
インタープリテーションの技術を使い実際にプログラムを企画し実施する。引用元:平成 30 年度佐世保市黒島ガイド養成研修 実施報告書
講義と実技・実習をバランスよく組み入れ、体験から学ぶ時間を多く設定したカリキュラムで、研修参加者自らが気づき考えるような研修が用意されました。
研修後半では、実際にグループでプログラムを企画立案し、研修参加者に対して互いに実施することで、より具体的に「相手に伝わる」技術の習得を目指しました。クイズやゲームなど、インタープリテーションを実際に体験する時間が設けられました。

体験後、インタープリテーションの大事なポイントが解説され、「黒島天主堂の天井の板」をテーマに講師によるプログラム企画の実習に移行。
研修参加者は、単に解説を聞くだけでなく、クイズやゲームを通して考え、実物を間近で観察する体験を通して、インタープリテーションのポイントを体感しました。
また、研修参加者によるプログラムの企画と実施という実習も行われました。
テーマは「黒島天主堂」。2人組のグループに分かれて、1つのインタープリテーションに絞り15分のプログラムを企画しました。
参加者が取り上げたテーマ(一例)
- 建設費から見える当時の様子
- ステンドグラスが象徴している物
- レンガを通して見る建設時の苦労、当時の話
- マルマン神父のお話
参加者を観光客に見たてて、企画したプログラムを実施し、フィードバックが行われました。

この1日の研修を通して、観光客によってニーズは異なっていても、「効果的に伝える」ためには、インタープリテーションという考え方を用いて、参加者が体験を通して発見ができる仕掛けが必要であることが意識できるように。

今回の研修のような新しいガイド方法などについての研修会や情報交換の場づくりを通して、黒島と地域の活性化につながることが期待されています。
黒島では、事前予約で、島のガイドさんと一緒にウォーキングで黒島の名所をまわる「ガイド付き島歩き」に参加することができます。
詳細については、黒島観光協会へお問合せ下さい。
http://kuroshimakanko.com/tour-2/walk/
コンサート at 黒島天主堂
10月28日(日)、フェリーくろしまにて乗船上限ギリギリの198名が来島。
この日、黒島天主堂で素敵なコンサートが開催されました。
コンサートを企画されたのは、黒島小学校で音楽の先生をされていた原さとみ先生。
2部構成のコンサートは前半、原先生の美声に酔いしれ、後半は長崎居留地男声合唱団の皆さんの軽快なMCと素敵な歌声に盛り上がる“あっ”という間の1時間半でした。
20年ぶりに帰ってこられた先生のコンサートということもあり、島民も多く訪れ、島外からの来場者も含めてたくさんの人で賑わいました。
(たくさんの来島があったこの日は、なんとウェルカムハウスの売上が開店史上最高額を記録したそうです。)
*コンサートについての詳しいお話は、黒島地域おこし協力隊山中さんに伺いました。
黒島天主堂の見学と保存修理工事 最新情報

いよいよ予定されていた保存修理工事が間近に迫る黒島天主堂(黒島教会)。
〇工事期間
黒島天主堂修復・耐震化工事スケジュールの変更に伴い、
平成30年12月28日までは黒島天主堂の見学が可能となりました。
→諸般の事情により、公開期間が2019年2月3日(日)まで延長されることに決定しました。
※立入制限期間2019年2月4日~2021年3月まで(予定)
また、11月17日(土)、18日(日)、23日(金)、24日(土)、25日(日)には、
黒島島内シャトルバスの運行も行います。
見学をご希望の際は、事前に黒島観光協会までお尋ねください。
是非、この機会に世界遺産「黒島の集落」観光をお楽しみください。
NPO法人黒島観光協会
電話:0956-56-2311
〇見学台の範囲や特別公開の時期についての問い合わせ
〔佐世保市教育委員会 文化財課 TEL:0956-25-9634〕
平日8:30~17:15〈土・日・祝日休〉
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