小笠原諸島・南硫黄島で新発見!10年ぶりに行われた自然環境調査にて

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南硫黄島
南硫黄島の全景(NHK提供)

世界自然遺産の小笠原諸島・南硫黄島(みなみいおうとう)にて、首都大学東京・東京都・NHKの共同研究により、10年ぶりに自然環境調査が行われました。
今回は、植物、鳥類、昆虫、陸産貝類などの調査を実施するとともに、立ち入れるルート以外はドローンを使った空撮による記録調査を実施し、数々の貴重な発見がありました。

主な調査結果(速報)

植物

希少なラン科植物: 高山浩司(ふじのくに地球環境史ミュージアム)提供
希少なラン科植物: 高山浩司(ふじのくに地球環境史ミュージアム)提供

希少なラン科植物を発見!

ラン科クモキリソウ属の一種を発見しました。
葉の形やDNA情報から、シマクモキリソウもしくは未記載種であると考えられています。

シマクモキリソウは戦前には父島にて記録が残っていますが、1982年の南硫黄島調査以来、記録が無かった幻の植物です。

南硫黄島では35年ぶりの再発見、79年ぶりの標本採取となり、現在、国立科学博物館で同定作業中となっています。

鳥類

営巣中のアカアシカツオドリ: 川上和人(森林研究・整備機構森林総合研究所)提供
営巣中のアカアシカツオドリ: 川上和人(森林研究・整備機構森林総合研究所)提供

アカアシカツオドリの集団営巣地を国内初確認!

世界の熱帯・亜熱帯の島しょで繁殖する海鳥であり、今まで南硫黄島の南部の崖上で多数の個体が樹上にとまる姿が確認されていましたが、アプローチが難しく営巣の有無は不明でした。

今回、ドローンにより営巣が撮影され、国内初の集団営巣地を確認いたしました。

陸産貝類

新たに確認されたリュウキュウノミガイの1種:和田慎一郎(首都大学東京研究員)提供
新たに確認されたリュウキュウノミガイの1種:和田慎一郎(首都大学東京研究員)提供

3種の南硫黄島・新記録種!

今回の調査により、3種の南硫黄島新記録種が得られました。
うち1種(リュウキュウノミガイ属の1種、殻長約2mm)は未記載種で新種と考えられています。

昆虫類

再発見されたミナミイオウスジヒメカタゾウムシ:苅部治紀(神奈川県立生命の星・地球博物館)提供
再発見されたミナミイオウスジヒメカタゾウムシ:苅部治紀(神奈川県立生命の星・地球博物館)提供

ミナミイオウスジヒメカタゾウムシの再発見!

平成27(2015)年に新種として記載された南硫黄島固有のゾウムシである「ミナミイオウスジヒメカタゾウムシ」は、これまで昭和56(1981)年の調査隊が持ち帰った標本1頭のみでしたが、今回の調査で再確認されました。

なお、今回も山頂部までの調査で1頭のみの確認となりました。

南硫黄島とは?

南硫黄島
南硫黄島の全景(NHK提供)

南硫黄島は、急峻な地形や自然環境の厳しさから人が定住したことがなく、小笠原諸島で最も原生の自然が保たれている島で、自然環境保全法で立ち入りが禁止され、また文化財保護法で島自体が天然記念物として手厚く守られています。

今回、首都大学東京と東京都及び日本放送協会(NHK)との共同研究により、世界自然遺産としても登録されている南硫黄島において、平成19年以来、10年ぶりの自然環境調査が実施されていました(調査期間は、平成29年6月13日〜28日までの16日間)。

調査結果の活用について

今回の調査結果は、南硫黄島が世界自然遺産地域としての価値を引き続き有していることの証明に活用されます。また、採取・採集した個体やドローン画像などは、今後学術的な分析を行い、島の生態系を保全管理するための基礎資料とし、小笠原諸島全体の保全目標や保全計画を策定する際の科学的情報として活用していくとのことです。

調査結果に関するお問い合わせ先

首都大学東京 管理部企画広報課
Tel:042(677)5670
東京都環境局 自然環境部緑環境課
Tel:03(5388)3454

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