小笠原・父島 〜島民の足元を彩る「ギョサン」〜

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独自の生態系が、世界自然遺産に認定されている小笠原諸島。

離島好きの方なら、いつかは訪れてみたい場所ではないでしょうか。

小笠原諸島の島々は、どこの大陸とも地続きになったことがない「海洋島」。

玄関口となる父島アクセス手段は、6日に1便の定期船「おがさわら丸」のみです。

孤立した環境によって、生態系が独自に進化したように、人々の日常生活にも独自性が現れています。

わかりやすいのは、目に見える足元でしょうか。

島に住み始めて、間もなく開催されたイベント会場の入り口に、同じタイプのビーチサンダルが並んでいました。

これは多くの島民が愛用する「ギョサン」と呼ばれる、合成ゴム製の一体成形型のビーチサンダルです。

ギョサンの名称は「漁業(ギョギョウ)」「漁協(ギョキョウ)」関係の人がはいている「サンダル」に由来するそうです。

漁業関係者発祥のアイテムだけあって、とにかく滑りにくい!

足裏の汗が素材のゴムに吸着するので、フィット感も抜群。多少サイズが合わなくても気になりません。

海辺や町はもちろん、ちょっとしたハイキングもできるし、土砂降りの日には長靴よりギョサンが一番。部屋履きとしてもOK。

ファッション性と、1000円でお釣りがくるリーズナブルな価格も兼ね備えています。

ラメ、蛍光色、マット、メタリック、パール、限定色のマーブル。

父島の商店の店頭に並ぶギョサンは、小笠原の多彩な自然界の色に負けないくらい、バリエーション豊かです。

サイズは子供用の18cmから、大人用の約28cmまで。

生鮮食品は売り切れ御免、日用品の品数も限られており、画用紙や折り紙が入荷待ち……なんてこともある場所ですが、ギョサンだけはいつでも品数豊富です。

海と山に囲まれていて、年間通して温暖な気候。

リラックスモードの時間が多い島生活において、ギョサンはとても実用的な履物。普及率の高さも納得です。

ちなみに、我が家、家族4人で20足ほどのギョサンを所有しています。

おがさわら丸のカラーリングをイメージした、右と左で色が違うギョサンが販売されたこともありました。

ちなみに、ここまでバリエーションが増えたのは、小笠原ならぬ神奈川県の小田原にある靴屋さんのアイデア。色数を増やす事をメーカーに提案して、ギョサンのバリエーションを増やしたそうです。

島生活において欠かせないアイテム「ギョサン」、遊び道具としての用途もあります。

元旦には母島でギョサンの飛距離を競う「ギョサン飛ばし大会」が開催されるのです

島生活において、ほぼパーフェクトな履物のギョサンですが、唯一の難点は紛失しやすいことでしょうか。

公共施設で誰かに間違えて履いていかれてしまった、いつの間にか片足だけ違う色に変わっていた、海で流された、公園でギョサン飛ばしをしていたら見失った。

まあ、仕方ないか……と、あきらめて買い直せる金額なのもギョサンの魅力です。

最近はセレクトショップや雑貨店でも、ギョサンを扱う店が増えているようです。

この夏は、ギョサンで小笠原気分を味わってみてはいかがでしょうか。

そしてその涼しげな足元で、小笠原を訪れてみてください。

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のなかあき子
ライター&イラストレーター。 小笠原諸島父島で2年間生活、現在は高尾山の見える街に在住。 著書に「東京のDEEPスポットに行ってみた」(彩図社)など。