島に関わるお仕事拝見!世界自然遺産 小笠原諸島の魅力を発信する「小笠原村観光局」にお邪魔してきました♪

小笠原諸島(おがさわらしょとう)は、東京から南に約1000km、太平洋に浮かぶ亜熱帯の海洋島です。
紺青の海に囲まれた自然豊かな島々で、2011年6月には世界自然遺産に登録され(日本としては4番目)、その知名度はウナギのぼり、観光客がどっと押し寄せてさぞかし大変だったでしょう!と思いきや、実はその裏で、地道に観光集客を続けてきた小笠原村の努力があったことをみなさんはご存知だったでしょうか?

小笠原村観光局は、小笠原諸島の観光集客のために東京都港区の島嶼会館を拠点に全国を営業先として活動されている団体。
父島と母島にはそれぞれ観光協会があるので、どう違うの?という疑問も。

そこで今回、観光局がある島嶼会館の事務所にお邪魔して、設立の経緯から今後の活動まで、観光局で奮闘されているおふたり(根岸さん、大久保さん)に根掘り葉掘り聞いてみました!

小笠原村観光局のある事務所入り口にて、おがじろう(右)と根岸さん(真ん中)と大久保さん(左)がお出迎えしてくださいました!

設立は2011年!世界自然遺産登録の年

– 小笠原村観光局の設立は2011年。世界自然遺産登録の年ですが、この年にいきなり設立というわけではなかったそうですね。設立までの経緯を教えてください。

根岸さん 2006年に、小笠原村全体での集客対策事業ということで、小笠原村父島に「小笠原ツアーデスク」を立ち上げたんですね。それまでは、積極的に観光客を誘客していたわけではなかったんです。知る人ぞ知る僻地・離島ということで、ダイビングなどの目的できているお客様は一定数いたんですが。

たしかに、アクセスは船のみ片道なんと24時間!という、ちょっとどころかかなり遠いロケーションのため、なかなか気軽に行ける場所ではありません。

当時母島の観光協会で働いていたところ、父島でのツアーデスク立ち上げに召集された根岸さん
小笠原に住むことを熱望し父島の観光協会に就職。その後、観光局にうつられた大久保さん

– ツアーデスクでは、どんなことをされていたんですか?

根岸さん おもに、旅行会社を活用して、小笠原に送客してもらおうと。当時は、小笠原のパッケージツアーは、旅行会社数社しか扱いがなかったんです。しかも、旅行パンフレットの最後の方のページに小さく掲載されている程度の。それだけでは不十分、売れるわけがない。しかも、旅行会社でも誰も知らないところなので、なかなかツアーを作ってもらえない。それなら、自分たちでツアーを作ってしまおうと、パッケージ商品をいろいろ作って、それを脇に抱えて、全国に営業にでかけました。まずは代理販売でやってみてもらって、売上の見込みが立った時点でぼくたちが作ったユニットを組み合わせたりして、そこから自社商品につなげてもらいました。
営業をしつつ、手配もしつつ、受け入れもしつつ。ランドオペレーション(*1)っていうのをやっていたんです。

そんなことをしているうちに、どうやら小笠原が世界遺産になりそうだという話がふっと湧いてきて。2009年くらいだったかな。お客さんが増えるだろうと。

*1 離島といっても、日本語が通じる国内でわざわざランドオペレーターを、しかも東京という大都市に置いて活動しているのは、全国的にも珍しいとのこと。

– 世界自然遺産登録を意識せず2006年にツアーデスクを立ち上げていたというのは、まさに、先見の明ですね!

根岸さん そうなると、島からでは対応しきれなくなってくるだろうと。情報発信も、足りなくなってくるはずだと。じゃあ、内地に一括管理できるところを作りましょうと、2011年4月1日に、東京諸島観光連盟の中に小笠原村観光局を作らせてもらいました。

気になる観光協会との役割の違い

– 父島と母島には観光協会もありますが、観光局はどんな立ち位置なのでしょうか?

根岸さん わかりやすく言うと、ぼくら観光局は野球のピッチャー、両島の観光協会はキャッチャーのような役割と認識して活動しています。
キャッチャー(観光協会)が試合をコントロール。求められる角度や位置にボール(お客さん)を投げるのが観光局の役割。

とは言っても、一般顧客のニーズを捉えやすいのはお客さんに近い方のぼくら観光局。それを島側に伝える役目もある。

観光協会とは、月1で、現地の研究機関などと一緒に観光連絡会議を行って、情報共有。テレビ会議で常にアップデートを図っています。

イベントなどで島を紹介する際には、現地のより濃い生の情報を届けるために観光協会から応援にきていただくこともあるそうです。

活動内容について

– どんな活動をされているのでしょうか?

根岸さん スタッフの人数は3名と少ないのですが、活動内容はかなり多岐にわたっています。主な活動としては、メディア対応旅行会社・各種団体への営業活動など。個人のお客様に対しては資料発送からイベント開催まで幅広く活動していますね。最近では書店で見かけることも増えてきた小笠原諸島の観光ガイドブックですが、そのほとんどに写真提供や校正という形でお手伝いさせていただいています。また、最近では、教育旅行にも力を入れています。修学旅行などのプログラムも、小笠原でしか体験出来ないことが多くておもしろいんですよ。

大久保さん その取り組みのひとつとして、学校に行って授業をさせてもらっています。

根岸さん 高校や環境・観光系の専門学校の研修が多かったんですが、最近は都内の小学生も対象にしています。4年生の社会科で、学ぶ地域が広がる(*2)でしょう。自分達が住んでいる以外の東京を勉強する時、多摩や島嶼の地域について学ぶので、先生によっては小笠原を取り上げてくれるんです。そことタッグを組んで、小笠原の話を深掘りしてもらうために、ぼくたちが先生として行ったり。

*2 参考:都会のこどもが小笠原のことを学び、考えたことは?

– 自分達が住んでいる東京にまさか島があるなんて、きっと知らない子どもたちも多いでしょうね。

根岸さん あと、「点でなくて、面で」という考え方を全てにおいてしているんです。ただ配って興味を持って来てもらうだけでなく、もうちょっと長い時間のお付き合いをしたいんです。点でつながるだけじゃないという。
より小笠原を知ってもらうために、学校では、一年間のプログラムとして小笠原を扱ってもらうようにしています。その中で、実際に小笠原に来るという機会を。そして帰ってから、学園祭などで発表してもらう。

そして、「点でなくて、面でつながりたい」から派生して、個人の小笠原ファンを増やす試みにも挑戦されています。

根岸さん 「小笠原アカデミー」という主催イベントを毎月やってます。少ない人数、最大でも20名くらい。ぼくたちも参加者と同じ高さの視点になるように座らせてもらって、小笠原のラム酒や特産品をつまんでもらいながら、スライドを見てもらって、クイズなんかしたりして、小笠原に触れてもらっています。

大久保さん すみだ水族館では、毎月プレミアムフライデーに実施しています。

「小笠原アカデミー」は、テーマや場所を変えて行うこともあるそうです。(後述)
ちなみに、すみだ水族館の大水槽は、小笠原の海を再現。開館前から、小笠原村としても協力されてきたそうですよ!

小さくても大きなアクションができる秘密

– 設立時、3名(+アルバイト1名)でスタート。現在のメンバーも、3名。小さいチームでありながら、とても大きな働きをしているように見えますが。

根岸さん 人数はほとんど変わっていないのですが、事業としては、市場ニーズの変化に合わせいろいろとシフトしてきています。もともと、旅行会社にはぼくたち観光局が単独で営業していたのですが、今では、ぼくたちの他に、ランドオペレーション事業を移管している小笠原専門の旅行会社や定期船を運行している船会社、小笠原村が「TeamOgasawara」を結成し、それぞれの専門性を活かした分業なども行っています。例えば、ぼくらは旅行会社を対象とした全国営業を半期に一度実施しているのですが、会場設定して行うセミナーはチーム全体で行う一方で、その前後で行う旅行会社への個別営業や個人向けイベントについてはチームを分けて活動効率を上げています。
あとは、旅行会社で集客できる顧客層ではなく、M1/F1と言われる層にフックをかけるため、リーチするために、個人のお客様を獲得するための事業にもっと力を入れたいなと。そのために「小笠原アカデミー」などのイベントを開催するエリアを拡げたり、回数を増やしています。

大久保さん LINE@やFacebook、InstagramなどのSNSも活用させてもらっています。もっと若い方たちにも興味を持ってもらえたらいいなと。

– Instagramのハッシュタグ「#ogasawalove」も盛り上がっています。インスタ映えする写真がいっぱい撮れる小笠原、きっとこれからもっと小笠原諸島に行ってみたいという人が増えるのでは?

大久保さん もっと潜在層に届いてくれるといいですよね。小笠原を知らない人たち、行ったことがない人たちが見に来てくれる、そんなキャンペーンもやってみたいと思っています。

旅行会社のツアーではなく個人の自由旅行が増え、小笠原の知名度が上がった今、個人に向けての情報発信の重要性が増しています。時代の変化に合わせて柔軟に対応し続けている観光局。全国の観光事業にとって、お手本となるような存在です。

東京諸島観光連盟と同じ事務所でお仕事されています

最新のトピックスをご紹介!

直近では、どんなイベントが企画されているのか、お聞きしてみました。

小笠原アカデミー

すみだ水族館(東京都墨田区)で毎月プレミアムフライデーの夜に開催されているワークショッププログラム。テーマや場所を変えて行うことも。

小笠原村観光局員と飼育スタッフによる小笠原の自然・文化に関する旬な話題を、特産品であるラム酒を味わいながらお楽しみいただけます。
まるで小笠原にいるかのような、ゆうゆうとした時間を過ごす大人向けプログラムです。

参考:12月29日(金)開催小笠原アカデミー~ゆうゆうオガサワラ~
http://www.sumida-aquarium.com/event/201712ogasawara.html

根岸さん 博多でも11月30日に開催しました。福岡は、船旅・クルーズ文化が根付いている地なので、意外と興味を持ってもらいやすいんです。秋から春にかけて、福岡発の大型客船が小笠原に寄港することも。

大久保さん 昨年は、表参道にあるHISのブックカフェでも開催しました。今年も開催する予定です。

小笠原DAY

一年のうち、観光局主催で一番大きなイベント「小笠原DAY」が、2018年2月12日(月・祝日)開催決定!毎年、おがさわら丸のメンテナンスに合わせて、竹芝桟橋にてこの時期に開催されている島民と島を愛する人たちの集い。約1000名が訪れる。

根岸さん 毎年、島民が一年のうちで一番たくさん本土にやってくる時期に合わせてやっています。今回で6回目。巨大なオフ会をイメージしてもらえればいいかもしれません。リピーターの方と島民の再会の場にもなっています。

小笠原諸島の魅力(読者へのメッセージ)

– 最後に、小笠原諸島の魅力を読者のみなさまにお伝えください!

大久保さん 野生のイルカと泳げること。冬春には、ザトウクジラウォッチング(*3)。釣りをすると、マグロやハタなんかの大物が釣れるということがすごい。全部が規格外!
外国の海に比べたら比じゃない魅力があります!そう簡単に行けるところではないので、レア感、異次元感を感じることができる場所です。行ってみないとわかりません!リアルで体験してみてください!

*3 ザトウクジラは冬〜春がシーズン。2〜3月がピークで、5月のGW頃までギリギリ楽しめます。

根岸さん 老若男女誰が行っても、「心、動かされる!」場所。行く前と行った後で、何かが必ず変わります!
そして、「旅」の要素が全部詰まっているのが小笠原。24時間の船旅では観光客以外に島民との出会いもあります。で、その結果、当初の予定とは全く異なる旅程になることもしばしば。でも、国内だから安心安全に楽しめるんです。
ベテランの釣り人も、こんなところの釣りなんか・・・といいつつ、感動してしまう海。イルカなんかと泳げるもんかと上から目線だった年配客も、童心にかえって、参加してしまう魅力。
海外の島は、リゾート地が多く、「旅」ができるところは少ないような気がします。「旅」をしたいという方には、小笠原がおすすめですね。

事務所の一角には、おがじろうのぬいぐるみをはじめとする小笠原諸島のグッズやポスターがたくさん!島愛満載です!

インタビューに応じてくださった根岸さん、大久保さん、ありがとうございました!

おふたりとも、小笠原に住んでいた経験をお持ちで、島への愛は人一倍。現在は島に住んでらっしゃいませんが、気持ちは今でも島とともにあるようでした。少しでもたくさんの人に小笠原に興味を持って欲しい、行ってみてほしいという熱意が伝わってきました。

そして、お話を聞いて、本当に小笠原へ旅にでかけてみたくなりました。部長、春休みくださーい!クジラを見に、小笠原まで行ってきます♪(聞き手:リトレンゴ編集部 長谷川)

小笠原村観光局 公式サイト:https://www.visitogasawara.com/

※リトレンゴ編集部では、離島に関わるお仕事の取材をこれから少しずつ行っていきたいと思います。
「うちの仕事、紹介してほしい!」「あそこの島関連の会社がおもしろいよ!」といった情報、どしどしお寄せください!
行政、企業、NPO法人、個人問わず、編集部の判断で当サイトに相応しいと判断した場合、採用させていただきます。
各公式SNS(TwitterInstagramFacebookページ)にて、メッセージお待ちしております!

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします