生命の神秘に触れられる場所、小笠原 〜独自の生態系を築いた「東洋のガラパゴス」で生き物と人間の共生を学ぶ〜

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車で日本を旅して、全都道府県制覇までもう少し!「こもちゃん」に書いてもらいました!

生命の神秘に触れられる場所、小笠原

東京から南に約1000キロも離れた大海原に浮かぶ島々、小笠原諸島。

4800万年前に火山活動によって生まれた30余りの島々は、その誕生から一度も大陸と地続きになったことがありません。ひとが入植したのはここ数百年のことに過ぎず、生き物たちは隔絶された楽園で独自の進化を遂げてきました。これが「東洋のガラパゴス」と言われるゆえんです。

小笠原の生きものはどこから?

では、どのようにして生き物たちはこの島にやってきたのでしょうか。

現地のガイドさんによると、小笠原にたどり着くためには、流木に乗って太平洋を渡ったもの、風に運ばれてきたもの、鳥類の糞に紛れてきたもの、などがあるそうです。

どの大陸からも遠く離れた小笠原に運よくたどり着けた生きものは非常に幸運であったといえます。

そのため、動植物種の数は多くなく、例えば本土では当たり前に存在するカラスやスズメがいません。また、本来生態系のトップに君臨する大型の哺乳類(クマなど)もおらず、そのかわり島の頂点にはオガサワラノスリという固有の猛禽類が優雅に飛んでいます。

驚くべきことにひとが移住するより昔は、哺乳類はたった一種類しか存在していなかったようです。それもオガサワラオオコウモリという固有の蝙蝠です。

(小笠原自然情報センター http://ogasawara-info.jp/press_center/photo_gallery4.htmlより)

他にも変わった生きものがたくさん!

その他にも固有の生き物たちがたくさん存在します。

入島してすぐに皆さんを出迎えてくれるのはタコノキです。印象的な外見で島のあちこちで見かけられます。

夏に訪れると必ず聞こえるのがオガサワラゼミの鳴き声。なんと12月でも鳴いているそうです。鳴き声は決して美しいとはいえません。

ガイドさんによると、外敵やライバルの少ない小笠原では生きものは「さぼること」を覚えたそうです。セミもウグイスも本土に比べて綺麗な鳴き声ではありません。

本土では5枚の花びらを持つ花が小笠原では4枚に進化しようとしている途中です。長い年月をかけて生きものたちが余分なエネルギーを使わないよう、環境に適応してきた生存戦略の結果なのです。

小笠原の生きものが直面する危機!?

しかし、そんな小笠原の生きものたちが現在、絶滅の危機にさらされています。

例えば、小笠原はカタツムリ(マイマイ)の宝庫といわれ、94%が固有種なのですが、父島ではほとんど絶滅してしまいました。

また、数十年前には当たり前に島々を飛んでいた固有のトンボたちも姿を消しました。

原因は、外来種です。

先述の通り、小笠原の固有種はライバルの少ないこの地域に適応して進化してきました。そのため外来種には極めてぜい弱でひとたび外来種の侵入を許すとたちまち数を減らしてしまいます。

マイマイを食べつくしたのはプラナリア、トンボを絶滅に追いやったのはグリーンアノールとよばれるアメリカ原産のトカゲ。その他人間が持ち込んだ、ネコやヤギ、ネズミが小笠原の植物や昆虫を食い荒らしています。

近年は固有種を守ろうと様々な取り組みが行われています。ノネコを捕らえる為に森の中には罠が設置されており、グリーンアノールを一匹捕まえると100円の報奨金も支払われるそう。

はじめての小笠原訪問を終えて

独自の生態系とその保存というまるで「生物の教科書」になりそうな島、小笠原。

海も山も本当に綺麗で、「ここは本当に日本なのか?」と疑いたくなる絶景続きでした。

人間が持ち込んだ外来種をまた人間が撲滅しようと取り組む、その不思議な構図がひと夏の忘れられない思い出になりました。

島民の方も皆さんとても島想いで、いつの日か人間と小笠原の生き物が共存できる日が来ればいいな、と思いました。

参考

“東洋のガラパゴス・小笠原を外来種から守れ”.(独)森林総合研究所 大河内勇http://www.env.go.jp/policy/kenkyu/suishin/backnumber/suishinhi/jpn/sympo/h19sympo/Okouchi.pdf

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STW-inamoto
小笠原諸島が好きすぎて、行きまくった結果、そろそろ何回行ったか数えるのも面倒臭くなってきました...